破産者の法律上の不利益
もちろん破産宣告を受けると、法律上の不利益があります。
しかし、これらの制約は、日常生活を営むうえで実際に支障になることはほとんどありませんから、無用な心配はいりません。
破産手続中の制約
破産者は、破産手続のなかで、裁判所に出頭して誠実に説明する義務があります。
破産者は、裁判所の許可なく居住地を勝手に移すことはできません(ただし、届け出て認められないことはほとんど考えられませんので、心配は無用です)。
また、破産管財人がついたときには、破産者あての手紙は、すべて破産管財人が開封して読みます。これは、財産隠匿の有無を調べるためですから、仕方ありません。開封された手紙は、後日まとめて破産管財人から破産者に渡されることになります。
資格上の制約
破産者は、宅地建物取引業者や宅地建物取引主任者、不動産業者、建設業者にもなれません。これらは、いずれも県知事の免許を要する業者です。
破産者は、質屋、古物商、生命保険募集員、損害保険代理店、警備業者と警備員(ガードマン)、風俗営業者とその管理者、証券会社の外務員にもなれません。
弁護士や税理士、弁理士、司法書士、公認会計士は破産宣告を受けると失格します。
破産者は、民法上の後見人や保佐人、後見監督人、遺言執行者になれません。ただし、親権の行使には影響はなく、もちろん相続の権利にもまったく影響はありません。
また、破産宣告を受けても医師、看護師、建築士、地方公務員や学校教員などの資格に影響はなく、退職理由にもなりません。
なお、株式会社の取締役について破産者は欠格事由になっていましたが、最近の会社法の改正によって取締役になることには支障がなくなりました。
騎手・調教師になれない破産者
破産宣告を受けて免責されないと騎手や調教師になれない(失格事由)ということを最近知りました。
調べてみますと1923年に制定された競馬法の施行規則22条1号に明記されています。
ところが、競輪(1948年制定の自転車競技法)やボート(1950年制定の小型自動車競技法)には規制がありません。この違いがどこにあるかですが、競輪やボートは戦後からのスポーツ競技であるのに対して、競馬の歴史は古く、戦前からありました。そして、恐らく八百長競馬も横行していた事実があり、その原因の一つに騎手や調教師の経済的破綻があったのではないでしょうか。
破産者は、お金に困って八百長競馬をする危険性が高いので、排除しておこうということです。
この点、確証はありませんので、誰か知っている人がいたら、教えてください。