~暮らしの中の権利を守る~不知火合同法律事務所

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今日の破産

○破産者とは?

破産者になっても、戸籍にのらず、公民権停止もない
 「破産者」というと、何か大変なレッテルを張られてしまった社会的落伍者だというイメージが世間に根強くあります。「破産宣告を受けると、戸籍にのせられ、公民権が停止される。子どもたちの就職や結婚にも差支える。人間じゃなくなってしまうみたいだ」。こんな心配をしている人が多いと思います。

 しかし、これは全部まったくの誤解です。そんなことはありませんから、心配は無用です。
 破産宣告を受けても、戸籍にのることはありません。住民票にも、もちろんのりません。

 ただし、免責を受けられないと、市役所に破産者であると登録されます。05年に施行された新しい破産法によると、破産手続きが開始されただけでは、本籍地の市町村に通知が行かないことになりました。登録されているかどうかは、市役所で「身分証明書」をもらうと分かります。この身分証明書は、運転免許証などとは違って誰にでも必要なものではありません。ましてや持ち歩く必要もないものです。これは、たとえば宅地建物取引業者になるために県知事から免許をもらおうとするときに必要なものです(破産者として登録されると、この身分証明書はもらえません)。

 なお、破産宣告を受けると官報に公告されます。官報というのは役所に備え付けされていますが、一般の人が見ることはまずありません。

 ですから、破産宣告を受けたからといって、関係ない第三者にまで知られるということはほとんどないのです。

選挙権はある

 破産宣告を受けたから公民権が停止されるということもありません。つまり、破産者には選挙権も被選挙権もあるということです。

 現に、かつて自民党の現職の国会議員が巨額の負債をかかえて、債権者から破産申立されたということが報道されたことが何回もありました。このとき、破産宣告を受けたから議員を失格するという話は全然出ていません。議員が失格しないくらいですから、選挙権があるのも当然です。ちなみに、09年5月からはじまる裁判員裁判についても破産者であることは裁判員の欠格事由とはなっていません。

親が破産しても、子どもには関係ない

 親が破産宣告を受けても、子どもの就職や結婚に支障をきたすようなことは法律上まったく考えられません。親が破産者であっても、子どもたちには何ら関係ないことです。

 むしろ、子どもたちにとっては、親が夜逃げの形で行方をくらましたり、債権取立を受けて、おどおどびくびくする姿を見せるほうがよほど悪影響を与えます。それより過去をきちんと清算して再出発に努力する親の姿を示せば、子どもたちも安心して勉強したり働くことができ、精神的にも社会的にも安定します。そのあと、子どもたちは親とは別の人生を歩んでいくのです。

 なお、信用情報機関に破産者として登録されると、その家族がグレーとして登録されることもあるようです。しかし、その場合でも、ローンが成立するかどうかはケースバイケースで、ローンが成立することは多いのです。

破産宣告後に働いて得た収入は自由

 破産者は、破産宣告後に働いて得た給料は、原則として自由に使えます。破産手続では破産財団というものが構成されることがありますが、破産宣告後の収入が当然に破産財団に組み込まれるということはありません。

 破産者の給料が差押られていた場合には、同時廃止型の破産の宣告を受けたときには、免責決定が確定するまで差押が続くことになります。しかし破産管財人がついた破産宣告のときには宣告の時点でその差押は当然に失効します。このときには、破産者はその後に給料差押を受けることもありません。いずれにしろ、裁判所によって免責が認められれば債務は消滅します。ゼロから再出発できるわけです。

 なお、破産宣告を受けても年金にはまったく影響がありません。減額されることもありません。

退職理由とはならない

 破産宣告を受けたときに、そのこと自体で会社や役所を退職しなければならないということはありません。公務員であっても破産宣告によって当然に失職するわけではありません。破産宣告それ自体が懲戒解雇事由に該当することはないのです。

 ただし、破産に至った原因が「著しい非行事由」に該当するということで問題になることはありえます。しかし、それは破産手続とは別の問題です。会社によっては就業規則のなかに破産宣告を解雇理由にあげているところがありますが、ほとんど合理性がありません。

 しかし、破産者が同じ職場で働き続けるようにするためには、職場の上司や同僚に事情を説明して了解を得たり、所属する労働組合の援助を得たりして身分を保持する努力が必要です。破産申立したところ、日頃の勤務成績が悪いため、この際やめてもらおうということで退職勧告を受けてやめた労働者はいます。そこまでいかなくても、職場にいたたまれずに自らやめてしまった人もいます。要は、本人次第です。